「大阪中央郵便局裁判」の意義とは何か?」と題したシンポジウムに行ってきた。
http://ocpo-1939.blogspot.jp/2012/10/blog-post_26.html
実は最後の30分しかいられなかったが、そこを聞いただけでも示唆に富む会であった。
残念ながら壊すことが決まってから文化財指定義務付け訴訟を研究者の方中心におこし、すでに建築は一部を残し取り壊されているが、そのことについてブログで一市民の視点から熱心に主に遅きに失したのではないかという問題提起をされていた方をお呼びし意見を伺っていたことも意義深い。
関わった弁護士の方は文化財保護法の限界を指摘できたことは、意義のあったことではないかと述べていた。
ブロガーの方が大阪の渡辺邸の保存運動の盛り上がりに言及し、一般の人が盛り上がることでの良い建築を残しえいく面白みのようなことに触れていて共感。ブロガーのお一人は中央郵便局の良さというのは一般人から見て自分にはわからなかったと言っていた。近年はほぼ使われておらず中心部で逆に暗く重たい存在になっていたとも。
司会の大阪市大倉方さんが最後の中央郵便局の歴史的意義を述べ、ある意味で信念から本当に壊すべきでなかったと語ったのだが、ブロガーの方はそういう専門家の熱い声がもっと聞きたいという。何となくインパクトを中央郵便局から感じなかったが、様式建築とモダニズムそしていま普通にあるオフィスビルをつなぐ意義のある建築であることを知って、あ、そうなのかと。そうすればそれにたしつけられた?一般の人や建築ファンが大きな盛り上がりを見せると。倉方さんは専門家がこれは大事だということよりも価値は市民が気付くものであるとの考えを示した。
他方、フランスでの実務経験が長い大工大前田さんは欧州でのオープンアーキテクチャーという歴史的建造物や普段見られない建物を年に一度公開するしくみを引き合いに出し、そうしたことで市民が自然と我町の建築に愛着を持つ仕組みができていると述べた。
倉方さんが普段されている早稲田のエクステンションセンターの街歩き建築講座の盛況を見るにつけ、そうしたニーズはたいへん大きいことは感じている。残念ながら中央郵便局はこわれてしまったが、シンポジウムの結論めいたものとして、これを前向きに活かす方策として
1文化財指定を受けなくても保存活用していくような仕組みづくりの模索、法制度研究
2まずは大阪の取り壊しの取りざたされる歴史的建造物の「デッドリスト」づくりを行い、かつオープンアーキテクチャーのような一般の方が建築に触れる機会を多面的に作る、また専門家のナマのその建築への熱い思いを受け取れるような機会があるとよい
というようなことが提案されていた(※自分なりにかなり要約した)。
折しも京都御所公開に個人的に行ってきたこともあり、大変賑わう様子を見て(御所は歴史的建造物を超えた存在のようにも感じるが)、一般の方の建築への関心の高さを感じていたばかりなので、地震研究でとりざたされるアウトリーチのようなことが、建築でも議論の俎上に乗ってくるのかなという感じを受けた。あるいはWS的なまちづくりともリンクしてくるのかもしれない。
昨今さかんに述べられる作らないことでのまちづくり、コミュニティデザインという話があるが、究極の「もうできてしまっているもの」である歴史的建造物をどう活かすのか、興味は尽きない。これらは見た目の仕上げのグレードの高さや、都市への影響からして実体験するとそれこそ良質な建築的な教育効果も得られる。熱い専門家と、それを面白がりまたそれらに影響を受け自分で街を楽しんでしまう一般の方、そういう動きの端緒になると感じた。
大阪では1117・18に長屋の一斉開放 http://www.facebook.com/opennagaya があるようだ。また今回の弁護士の方を中心に近いうちに文化財の法制度を中心とした討論会も開かれるようだ。
いずれにしても解体されてしまったことは残念であるが、重ねて述べると、街ウオッチをされていて今回の専門家による裁判は少し遅かったのではないと原告に取り「耳の痛い」ことを率直に指摘されていたブロガーの方を呼び、裁判のレビュー的な討論会を開催したということの意味はとても大きく、建築は誰のためにあるのか、愛される建築とは何か、そういったことを議論しながら現在的に歴史的建造物とつきあっていくにはどうすれば良いのかを探るうねりが生まれそうだ。
自分はエンジニア側から、工学以前の(もしくは工学黎明時代の)建築がいかに作られていたかという視点から、保存問題また実際の保存設計に関心があるが、こうした動きにどう関わっていけるのか、試行錯誤を続けたい。
また、ひとつの提案としてドクター学生の方などが、積極的に歴史的建造物の見学会の司会役となり、自らの専門知識をアウトリーチし、相互研鑽するような機会が増えても良いのかなとも思った。
棚橋 諒ほか,姫路城の振動測定について,日本建築学会論文報告集 (54), 437-440, 1956 http://ci.nii.ac.jp/naid/110004853234
「日本近代建築」の生成──「現代建築」から『日本の近代建築』まで | 倉方俊輔
出典=『10+1』 No.20 (特集=言説としての日本近代建築)、pp.149-163
「はじめに 今回の特集もその一環なのかもしれないが、近年、日本の「近代建築」、「モダニズム」に関する議論が盛んだ。例えば、個人を対象とした実証的な取り組みがある。「近代か反近代か」という思想構造の中で、ともすれば取りこぼさ…」
堀 勇良;煉瓦・鉄・コンクリート (主集 日本の近代建築) 建築雑誌 95(1160), 11-13, 1980 http://ci.nii.ac.jp/naid/110003790252
堀 勇良;100年前の耐震技術(<特集>温故知新 : 建築技術1886) 建築雑誌 101(1242), 34-37, 1986 http://ci.nii.ac.jp/naid/110003801050
内田 祥士; 昭和初期の建築史文献に於ける日光東照宮評価 : 近代に於ける日光東照宮評価 日本建築学会計画系論文集 (594), 183-190, 2005 http://ci.nii.ac.jp/naid/110004836696
坂 静雄 初期の鉄筋コンクリート構造 建築雑誌 101(1254), 5-8, 1986 http://ci.nii.ac.jp/naid/110003776388 フジモリ先生が聞き手。日比、荒木、三浦という構造の先生が京大におられ、その後佐野内田先生の要請で大学院1年終えて、京大に赴任されたようだ。坂先生はRC,棚橋先生は鉄骨、という分担。
「横山──建築家の方と打ち合わせをするときに開口部はどこなのか、なぜそこに開けるのかということはすごく気になりますね。耐震要素をどこにとるかということに関わりますし、その開口部はなくせるのかどうか。小さな開口部か、大きな開口部か、なぜそこに開けるのか納得できる理由が欲しい。開口部は空間の質に関わるものなので、それが構造のシステムと合致することによってある説得力のようなものが生まれるのかもしれません。…」
構造から見た実験住宅 | 横山太郎+町田敦
出典=『10+1』 No.41 (特集=実験住宅)、pp.73-79
うーむお父さんについては文章に触れているが、内田祥哉さんとは同時に出てくる資料はないようだ
国立科学博物館 科学技術史研究グループ(旧理工学第四研究室)は科学技術史及び建築史・土木史を主な研究対象とする研究グループです。現在は近代化遺産とよばれる、日本の近代化を支えた様々な技術や器物に関する調査研究を行っています。
清水研究主幹は日本の近代化遺産の発達に関する調査研究を行い、特に歴史的な産業遺産の保存についての研究を行っています。久保田研究員は1995年4月から本研究グループに在籍し、鉄道施設に関する研究を行っており、村上胖という一人の鉄道技術者に関する研究をまとめました。
http://research.kahaku.go.jp/department/engineering/4/index.html